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「やっぱり、疲れてるみたいだったね。」

私が夕食の片づけをしている時、テーブルに着いた手島さんがお菓子をつまみながらそう言った。
それはもちろん史郎さんのことだ。



「そ、そうですね。」

って、そのくらいしか言えないよね。
確かに、史郎さんは疲れた様子だった。
でも、そのことには触れたくない。



「しかし、本当に羨ましい身分だよ。
毎日、好きなことだけして暮らせるなんてさ。
ま、そのうち、金に釣られた頭の軽そうな若い女と結婚でもして、気に入らなきゃ別れたりするんだろうね。」

私はなんと答えれば良いのかわからず、黙ったまま曖昧に微笑んで誤魔化した。
そうだよね。
これほどのお金持ちで、しかもイケメンともなれば、結婚相手もより取り見取りだよね。



「知ってるかい？ご主人は、若い家政婦は雇わないんだ。
やっぱり、あの人は遊びと結婚は分けてるのかもしれないね。
万一、家政婦とそういうことになって、結婚でも迫られたら面倒じゃないか。
だから、そういう関係にはなりそうにない年増ばかり雇うんじゃないかね？」

と、年増って……
確かに私は若くないけど、手島さんよりはずいぶん若いんですけど…
でも、手島さんの言うことは当たってるかもしれない。
普通なら、おばさんよりも若くて可愛い子の方が雇いたくなりそうだもんね。
そうしないっていうのは、もしかしたらそういうことを警戒してるのかもしれないね。