「じゃあ、俺もう行くね。」

「あ、うん。ばいばい」


楽しい時間はあっという間にすぎて、すこし名残惜しいけど

引き止めちゃうのは悪いからね


亮くんが少し離れたところでこっちに振り向いた。

どうしたんだろう?



「…響紀ちゃん、また夜にここで待ってるね」

亮くんは笑顔を見せてから帰って行った。



…脱走は今日だけのはずだったけど、多分、これから毎日脱走するんだろうな。


だって、また待ってるって言われたら会いに行くに決まってるじゃん。



前までは何も楽しくない生活が続いていたけれど、これからはすごく楽しくなりそう。


亮くんという存在ができたから。

こんなこと思ったことないけど今はすごく思うんだ。

ありがとう、亮くん。