「ありがとうございます。」


ねぇ、先生なら病気治してよ。

できるはずでしょ?

私のこの嫌な病気、もう再発しないようにしてよ



そんな思いも先生には届くことは無く、


「じゃ、また検査しに来るからね」


先生は部屋をでていく



もう、いやなんだよ…



この何も無い部屋から私を出してよ…





……先生が出してくれないなら、自分で出ればいいじゃないか。



そんな馬鹿なことが思い浮かぶ。




でも今の私は必死で



“脱走”


この言葉が頭に思い浮かんだ



…よし


今日の夜だけ、ちょっと逃げ出そう。


不安で仕方ないはずなのに、心はワクワクを抑えきれない。


こんな気持ちになるのはすごく久しぶりで



はやく夜にならないかな…?



私はその想いでいっぱいだった。