少年がその家に着いたとき、
もう夕日は沈む寸前だった。
オレンジ色の夕日は、
まるで大きなカーテンみたいに
少年を包み込んで、
砂利道へと、
静かな影を落としていた。
目の前には、
大きな家がある。
大きな家の、
大きな窓。
覗き込んでも、
白色のレースが掛けられていて、
部屋の中を見ることはできなかった。
少年は、玄関に立った。
横開きのドアだった。
鉄の柵が付けられた銅色のドアは、
少年に威圧感を与えた。
けれども彼は、
思いきって、
チャイムを鳴らした。
少年の胸が高鳴った。
きっとすぐに、
中から少女が出てくるはずだ。