少年は荒野にいた。

雑草が地面を覆っている。

その草の先端には、

ぽつりと溜まった水滴がある。


しずくが彼の足元に触れるたび、

ひんやりとしたものを感じさせた。


少年は空を見上げる。


薄い水色の空に、

霧のような雲が掛かっている。

飛行機が一機、

大空を横切る。

一筋の線が現れる。

また、少年は足を進めた。

目的地を目指して、

ひたすらに歩く。

温かい、春の風が吹く。

少年は足を進める。

愛する人のいる場所に向かって、


今、ひたすら荒野を渡る。