僕は彼女の名前をまだ知らない

「ベランダに桜の花置いて、いちご大福食べながら花見気分味わう?」

「え……あ、う…ん。」
彼女はまだ調子が戻っていない。

ずっとソファーに座って、手に持った桜を、ボーっと眺めている。
まるで、心ここにあらず、といった感じだ。


「ほら、ベランダ行くよ!」

僕は強引に、彼女の手を引っ張った。