僕は彼女の名前をまだ知らない

「それで、私が寛輝を預かって、今に至る。」




ムクムクと、胸の奥からいろんな感情が湧き上がってきて、喉が詰まる。

気付けば、僕の頬は濡れていた。

 



「……寛輝?」


「僕、お母さんのこと、なんにも知らないくせに、虐待とか言って……
お母さんに申し訳無い……」