僕は彼女の名前をまだ知らない

「お姉ちゃんは、お父さんが亡くなった辛さに頑張って耐えて、寛輝を育てた。

だけどね、お父さんの親戚に心無い言葉を浴びせられてね。
どこにでもそういう人はいるからね……」



記憶にないお母さんが、悲劇のヒロインのように思えてきた。



「それで、お姉ちゃんはまた、体調を崩した。」



ああ、なるほど…

僕の中で、何かが繋がったような気がした。