いつも一緒にいる友達たちはみんなデートに出掛けた。


夢の国に行ったり、美味しいレストランを予約したり、彼氏の家にお泊まりしてプレゼント交換をするんだって。


もう羨ましいを通り越して、泣けてくる。

補習を受けてることも、補習を嫌がってるわりには予定がないことも。



「桜井さんって、彼氏と別れたんでしょ?」


なのに、成瀬くんは平然と私の傷口をえぐってくる。



「ええ、そうです。振られたんですよ。1か月前に!」

私は開き直ったようにシャーペンを勢いよく机の上に置いた。



半年間付き合った彼氏はふたつ上の大学一年生の人だった。


知り合ったのは友達の紹介。イケメンというわけではなかったけど、優しくて包容力があって何回か遊んでいる内に自然と惹かれていった。


私の周りにいる友達はみんな経験豊富で、高2にもなって彼氏がいなかったのは私ぐらいだった。

だから、浮かれた。


初めて彼氏ができて、みんなの恋愛話にも入れるようになって。

週末のデートのためだけに月曜日から金曜日までの学校を頑張れるってぐらい、彼は私の活力になってた。