花奈がどうしたものかと困っていると、咲也はまた手を繋いできた。



「次、行こう」

「次?」



 公園に行ってははしゃぎ、商店街で美味しそうなお惣菜に惹かれ、温かい魚のフライにかぶりついて子供のように笑顔になる。


 いつの間にか花奈も嬉しくなっていて、ジャックを忘れたわけではないけれどとても楽しい時間だと思った。



「こうやってよく、散歩した」

「ん?」

「花奈ちゃんが好きなのは商店街で、おれが……いや。ジャックが好きなのはあの空き地」

「なんで? なんで、知ってるの」

「なんでかな。そう、つまりさ……」



 咲也は困ったように笑って、ぽつりぽつりと丁寧に言葉を紡いでいく。


 とても悲しくて、とても寂しくて、辛いことを彼は花奈に話し始めた。