「ねえ」



 自己紹介が終わり、解散となったところで咲也が話しかけてきた。



「答え、聞いてないんだけど」

「そう、ね」



 彼、咲也のことはまだよく知らない。
 しかし、ジャックが二人の間を走り回っているような気がしていた。



「好きになるかもしれない。ならないかもしれない」

「なんだよ、それ」

「今は夢を叶えたいかな」



 そう言いながら、花奈は笑顔で咲也の手を取る。



「一緒に歩いていこう!」



 耳まで赤くして照れる咲也。


 そんな彼に惹かれたのは、一緒に歩こうと決意したあの時。咲也の不登校の理由を聞いた後だ。



「わかった。いつか好きだって言わせてみせる。見てろよ?」

「言われなくても、隣で見ていてあげる」



 ジャックが導いた最高の笑顔。最高の出逢い。



 ――――これから先。きっと、もっとあなたを好きになる。



 花奈はそんな予感に微笑んでいた。


 二人の笑顔が花開く。
 咲きほこる彼らを祝福するのは、笑顔を導いたジャックと晴れた空に舞う桜だった。



 END