プレーヤーとして夢を叶えるのは無理だろう。
 だがマネージャーとして誰かの夢の手助けが出来る。一流の選手に育てる。そういう夢の叶え方だってある。


 そう花奈は思う。


 辞めるなら辞めていい。辛ければ逃げてもいい。
 一つのことが出来なくなったからと、全てを諦める必要はないのだ。


 彼には実績がある。
 違う道を模索して、苦悩して、がむしゃらに歩いて、走って。その先に"逃げ"があるのなら、それは彼が頑張って選んだ道だ。
 間違いではない。


 地に足をつけて歩いた咲也が必死に生きた証だ。


 だから花奈も一緒に歩こうと決めた。隣にいようと思った。



 ――――学校は先に、卒業しちゃうことになるけどね。



 常に一緒だったジャックがいなくなり、まるで闇の中にいるようだった。


 一人になってしまったような虚無感の中に見つけた光。それを見守りたいと花奈は思った。