花奈はその時、なぜそんな風に思ったのかはわからなかった。


 ただ、ジャックが心配して咲也のそばにいて前に進む勇気をくれたのだと言うのに、言い訳をして進むことを拒み続ける咲也が気に入らなかっただけ。


 ジャックの行動を、一週間を無駄にしたような気がしたから。



「どうかな? わたしの考え」

「本気で言ってるの? なんでおれのため――――」

「違う。ジャックのため」



 まるでジャックの後を継いだような気分だ。


 花奈にとっても、第一歩。
 咲也にとっては大きな一歩だ。