諏訪さんの目がわたしをとらえて、わたしが諏訪さんの眼差しから逃げられなくて。
二人の視線が絡まり合っているのは変わらずだけれど、そこに、わたしの熱が伝導していくようだ。
だって、そんなの、信じられないもの。
あの諏訪さんが、わたしを?
そんなのあり得ない。諏訪さんはみんなから絶大な人気があって、わたしみたいに片想いしてる人もとても多くて、だから本当はわたしみたいな一社員が気安く話せる相手ではないはずで、なのになのに、その諏訪さんが、わたしを?
頭では理解できても、感情が追い付かないわたしは、分かりやすすぎるほどにはっきりと、パニックを起こしていた。
「オレ、割と分かりやすい行動してたと思うんだけど」
わたしはまだまだ信じられない気持ちが強くて、諏訪さんに対して会話らしいセリフを返せない。
けれど、
「戸倉や浅香にはすぐにバレたくらいだし」
何気ない感じで出された名前には、反応しないわけにはいかなかった。
「え……、浅香さんも、ご存知だったんですか?」
反射的に訊き返したわたしを、諏訪さんはフッと笑う。
「やっと話してくれた」
「あ………」
してやったりという満足顔の諏訪さんに、わたしはばつが悪い気持ちになり、ただ素直に「………すみません」と謝った。
すると諏訪さんも「オレこそごめん」と返してくれた。
諏訪さんが謝ることなんて何もないのに。
そんなわたしの考えを察知したのか、今度は諏訪さんがばつ悪そうに言った。
「オレ、たぶん、浮かれてるんだ」
「……どうして、ですか?」
キュッと締まっている喉をどうにか震わせて、わたしは尋ねた。