打って、守って、恋して。


あとアウトひとつ。
観客が息をのむ中、栗原さんは目の覚めるような鋭いストレートで三振を奪った。


「延長だ!頑張れやまぎん打線!」

高くメガホンをかざして凛子が声を張り上げる。


大歓声の中で延長戦を迎えた両チームは、十回の表に備えてそれぞれのベンチの前で円陣を組んだ。

その様子を見ていたら、なんだか熱いものが込み上げる。
ここまでどれほどの練習を繰り返してきたのかなあとか、たくさんのプレッシャーに耐えてきたんだろうなあとか、そういうことを考えてしまって。
どうかその努力が報われてほしいと切に願った。


やまぎんの攻撃は、下位打線の八番からスタートする。
一人でもランナーが出れば、二番の藤澤さんに打順が回ってくる。
また準々決勝の時みたいな三塁打が出れば、と思ってしまう自分がいた。


攻撃の前に九回までずっと投げ続けていた相手チームのピッチャーが交代した。
球数も相当投げていたし延長までは投げ抜けないと踏んだようで、継投策をとったようだ。


マウンドで少し投球練習をしたあと、延長戦が始まる。
試合を再び仕切り直ししたように、緊張感漂う空気へと変化した。

私も凛子も、ここまで来たら手を組んで祈るしかない。
二人で身を寄せ合って試合を見守った。


やまぎんの攻撃。
一人目、八番打者の選手はファウルで粘ってフォアボールを選んだ。

相手の応援団からはため息が漏れる。

続いて二人目、ラストバッターの選手はまさかのデッドボール。
左肘にボールが直撃し、少し顔を歪めたもののすぐに一塁へ向かった。