打って、守って、恋して。


「今日の栗原、めっちゃいい感じ!準々決勝のリベンジかなー」

凛子の言う通り、栗原さんの調子がいいのは投球内容を見てもよく分かった。

とにかく投球のテンポがいい。
キャッチャーのサインを確認するとすぐに投球モーションに入り、ボールを投げる。
サインに首を振ることも一切なかった。


九回表で点をとれなかったやまぎんは、ウラでしっかり相手をゼロに押さえなければならない。
普通ならサヨナラ負けになってしまうかもと弱気になるところだけど、今日の栗原さんなら心配なさそう。

電光掲示板に球速が表示されるたびにどよめきが起こる。

『155km/h』

それを見て、凛子が大慌てで電光掲示板の写真を携帯で撮っていた。

「やばーい、超速い!今まで見た中でたぶん最速!記念に写真撮っとこーっと」


ここで先頭打者が打った球を三塁手が落としてエラーになり、栗原さんに交代してから初めてのランナーが出たのだが。

次の打者が栗原さんの三球目を打ち、打球は絶妙なコースをついて一二塁間へ速いスピードでライトへ抜けた……かと思われた。

すかさずするりと藤澤さんが飛び込むように逆シングルで打球を捕球したと思ったら、体勢を立て直せていない状態でボールを躊躇うことなく二塁へ送球。
その体勢でもきちんとショートのミットのいいところへボールがおさまるのだから驚きだ。

二塁はあっさりアウトになり、そのボールは今度は一塁へ。そちらもアウト。
圧巻のダブルプレー。


あっという間にランナーがいなくなった。

あまりにあっぱれなプレーだったので、不思議と相手チームからも拍手が送られた。