都市対抗野球大会決勝の日は、生憎の雨模様だった。
雨が降るなんて思ってもみなかった私と凛子はドームに来る途中でビニール傘を購入して、これから始まる試合に向けて会場入りした。
今日で、私の夏休みが終わる。彼らの大会も終わる。
勝っても、負けても。
試合前練習で、選手たちがグラウンドに出てくる。
青のユニフォームとストライプのユニフォーム。どちらもいつも通りに練習していた。
相手チームは、昨年の優勝チーム。
やまぎんはこれまで都市対抗では数年前に準優勝経験はあるものの、優勝したことはない。
漂う緊張感の中に、選手たちがぽんと放り込まれたような研ぎ澄まされた空間で、彼らは平常心を心がけながら練習をしているに違いない。
私たちのいるバックネット裏の席の前方に、かたまって集団で座っている男性たちがいた。それぞれ何か資料を持っていて、口々に顔を寄せて話したりしている。
「……あれ、プロ野球のスカウトマンだよ」
「え!あんなにいるの?」
「そりゃあ十二球団あるんだもの。当然よ」



