うっかりCS加入してしまいそうな自分が怖い。たったそのためだけなんて、いくらなんでもまずい。
すっかり社会人野球の虜になっている私の奥底にある願望を引き出したいのか、凛子が急に猫なで声で擦り寄ってくる。
「あのさー、柑奈。そういうことで、ちゃんと生で試合見れるのって明日までってことなのよ……。だからさ」
「ん?」
「なんとか栗原と会う機会作ってくれない!?柑奈の会社の先輩に頼んでよー」
そう来たか!
親友の図太さに感心しそうになる。いかんいかん。
「いやーそれはちょっと頼みづらい…」
「私だって一緒に飲みたいの!」
「あれは偶然……というかなんというか、私があとをつけて行ったから実現しただけだもん。もう無理だよ」
「……ええぃ!この際、藤澤も一緒でいいからさ!」
「ちょっと!“ついでに“みたいな言い方しないでよー」
ごちゃごちゃと言い合っていたら、ブブ、と私のポケットの中で携帯が震えた。
なんだろうとポケットから出して見てみると、まさに話題にのぼっていた沙夜さんからメッセージが届いていた。
『東京ドーム楽しんでる?やまぎん決勝進出おめでとー!栗原くんから連絡きたよ。明日は私の分まで応援よろしく!』



