「あ、そういえば沙夜さんって出産予定日はいつ?」

「んとね、いま妊娠七ヶ月って言ってたかな?だから三、四ヶ月後には産まれてると思う」

「うはぁー。栗原がパパになるのかあ。私も彼の子を産みたかったわ…」

ゲホゲホッと咳き込む私を見て、凛子はケラケラと笑い声を上げた。

「うそうそ。ファンと恋は紙一重じゃない?ただただ沙夜さんのことが羨ましいってだけよ!」

彼女の言うことに一理はある。
半分恋をしていなければファンにはならないかもしれない。
きっと私だってそうだったと思う。


「なんにせよ、柑奈も旦那さまの体調管理、頑張ってね!……結婚式には呼んでよね!私、そこでプロ野球選手と出会って恋に落ちる予定だから!」

「式はたぶん次のオフにするから……あと一年後だよ?」

「いつまでも待つわよ!プロ野球選手との結婚のためなら!」

野望を掲げてメラメラと燃えさかる炎を目に宿した凛子は、あおるようにビールを飲み干した。

彼女の目標は、億越えプロ野球選手ゲット……だそうだ。
うん、彼女らしい前向きなやつ。