「あっ、そうだ。忘れないうちに」

サクサクのかき揚げを食べているところに、彼がごそごそと紙袋を取り出してテーブルに上げる。
紙袋ごと差し出され、もぐもぐと咀嚼する口元を片手で隠しながらなんだろうと袋の中をのぞき見た。……なんだかいっぱい入ってる。

ちゃんと両手に持ち替えて、袋をしっかり開けて見てみたら、あぁそうかと納得した。

「もしかして、お土産ですか?」

「はい。女性は何が好きなのか分からなかったので、とりあえずひと通り人気だというものを買ってきました」

「嬉しい!ありがとうございます!」

わざわざ買ってきてくれるなんて、ちょっとしたものでも嬉しいのにこんなにたくさん。
緩んでしまう顔を隠しきれるわけもないので、もういいやと感情はだだ漏れにさせた。

気になるものを手に取って、ふにゃりと笑う。

「これ、なんですか?じスケツトって書いてますけど…」

「コアラのマーチのパクり商品らしいです」

「ふふ、もう完全に“まんま”じゃないですか!あ、これは?」

「大白兎っていう、ミルキーみたいな飴らしいです」

「パッケージが可愛いですね。じゃあこれは?」

「花茶という中国茶です。お湯を注ぐと丸くなってる茶葉が開いて、花みたいになるらしいです。なんとなく、石森さんが好きそうだったので」

「……ありがとうございます」

もったいなくて食べられないかも。お茶も、いつまでも飲めなくなりそう。私のために選んでくれたっていう時点で、特別感があってドキドキしてしまった。

どれもある意味、中国のお土産らしいものばかりで見ていても楽しかった。