確認だが、今は仕事中である。

しかしもう止める気もないような淡口さんの呆れた視線と、全身で応援するジェスチャーをしている翔くんに押され、私はすっかり恋の相談をしていた。

沙夜さんは素早く立ち上がってすたすたと私の元までやってくると、バッグの中から勝手に携帯を取り出した。

「あー!沙夜さん!ちょっとちょっと!」

複雑なロックなどかけているわけもないので、すんなりと操作を始めた沙夜さんは奪い返そうとしている私の手からすり抜け、指を画面に滑らせる。

「何してるんですか!」

「はい、送っておいたよ」

「……なにを?」

画面を見ると、血の気が引いた。


『優勝おめでとうございます!帰国したら連絡ください!お祝いしましょう、二人で』

語尾には、ご丁寧にハートマークが。


「やだぁぁぁぁぁぁぁ」

「ほっほっほっほ、これで食いついてこなければ男じゃないわ」

「………………二人とも。そろそろ仕事しようか」

膝から崩れ落ちて携帯を何度も見直す私と、高らかに笑う沙夜さん。さすがに淡口さんに促されて、私たちはようやく席について仕事を再開した。