この試合の間、私の心臓はほぼ休みなしにフル稼働した。


一回表、犠牲フライで日本が一点先制。


一回ウラ、相手チームの二番バッターの放った打球が一二塁間を突き抜けるように飛んでいく。
当然、それは抜けてヒットになるものだと思った当たりだったが、そこには藤澤さんがちゃんといて。少し背伸びをしてサクッとグローブで打球をつかんだ。

『セカンド正面、二塁ライナー!強い当たりでしたが、いいところを守っていました藤澤』

『一歩も動いてませんね。素晴らしい守備位置でした』



五回ウラ、1対0で日本がリード。
日本はワンアウト一三塁のピンチを迎えていた。
一打同点になってしまう場面で、打者はクリーンナップへ。

最悪でもスクイズか犠牲フライが来て一点とられても仕方ない、という状況で三番バッターの打球が一二塁間ほぼ二塁ベースの上を通過した。

あぁーっ、と翔くんが残念そうな声を上げたのだが。

『打球はセカンドベースの後ろへ、センター前ヒット…………ではありません!藤澤が飛びついた、とった!ショートへトス!アウト!そのまま一塁へ送球!アウトだー!ゲッツー決まりました!スリーアウト、チェンジ!』

興奮した実況がまくし立てる。