「わかった」
彼はそう言うと私をソファに座らせて、自分はキッチンへ消えていった。
数分して漂ってきたカレーの匂いは言うまでもなく彼が作っているもので。
「ねえ」
「ん?」
「私、どうなっちゃうのかなあ」
その先にあるものを見ようとしない無神経な発言を心の自分が責めた。
「いつマナーモードにしたの?」
話の筋を無視して彼が指差した先にある私のスマートフォンは私の知らない所で震えていた。
「亮くんのが鳴ってるのかと思った」
それを手にすると今までではあり得ないほどの着信履歴が入っていた。
その中には。
「お母さん、、、、?」
『母』と表示された画面。
『お兄ちゃん』と表示された文字。
『父』と記されたそのモノ。
逃げるのが怖かった証拠。

