制服を着て、空を見上げて歩いた。



なんて答えると彼は少し驚くように目を開いた後で、スッと冷めたように私を見つめた。

「そうかー、仲間、ねえ…」

「え?」

よく聞こえなくて聞き返すと彼は首を振るばかりで何も答えてくれなくなった。

「何で今日帰れなくなったの」

「は?」

「だから、何で今日帰れなくなったの?」

今になってまさかそんなことを聞かれるなんて思ってなく、仏頂面になっている私に構わず彼は続けた。


いつのまにか握られている手には気づかないふりをした。

気づいてしまったらきっと全てに甘えてしまう気がした。

好きでもないし、今日初めて会話をした人物だけれど、そういう感情じゃなくて、言葉にできないような感情で甘えてしまいそうだった。


「…母親が、アルツハイマー、なの。」

「うん」

「家族で唯一私を忘れてしまったから。」

「うん」

「私はもうあそこの家族じゃないって認識するのが嫌だ」