ブンッ・・・!


空を切る音を立てて、
父さんは幸奈ちゃんの目の前に
杖の先端を突き付けた。


「・・・っ!」


幸奈ちゃんは
驚きのあまり固まっているようだった。


「おい!幸奈に何する気だ!?」


奏多君が父さんに対して
警戒心むき出しに言った。


「なんもせんわ!ただ一つだけ、
言うことを聞いてほしい・・・」


「言うこと・・・?」


怯えたような表情で
幸奈ちゃんは父さんに聞いた。


「うちの息子を
たぶらかすような真似をするな!
もう2度と、健司とは関わらないでもらう」


「え・・・。
たぶらかす・・・?」