「的井さん、私ね。本当は体育祭の日に逃げちゃおうかなって思ってたんだ」
城田さんは芝生に両手を空を見上げた。
「大抵のことはこなせるんだけど運動だけは昔からダメで……。リレーなんて迷惑かけるだけなのに選ばれちゃって、すごく憂鬱だった」
「………」
「でも当日に逃げる勇気もないしさ。周りは応援するねって言ってくれるけど、それもプレッシャーで押し潰されそうだった。だから練習に誘ってくれて本当に嬉しかった」
城田さんの言葉に胸がぎゅっとなる。
私もリレーなんて目立つ人がやるものだから全然自信もないし、当日は足も震えちゃうと思う。
でも先生が言ってくれた。大切なのは失敗しても立ち上がり続けることだって。
失敗してもいいんだ、許してくれる人がいるんだって思ったら、自然と勇気が湧いてくる。
「先生に滑走順を聞いたら私は的井さんの前だって。ちゃんとバトン渡すからね」
転んでもいい。遅くてもいい。
ただ、全力でやってみよう。
「うん。一緒に走り切ろう!」
ゴールテープを切った時、瞳に映る世界がカラフルであるように。
誰かと喜びを分かち合えるように。



