「いくみんって、熱血なのか適当なのかよく分かんないよね」
城田さんが緩みかけていた靴の紐を結びながら言った。
「うん。でも面倒くさいって口では言ってても頼りにされると放っておけない人なんだと思う」
先生が去っていった方向を見つめたまま答えると、何故か城田さんはじっと私のことを見てきた。
「……えっと……」
なにか変なことを言ってしまっただろうかと、緊張感が生まれる。
「的井さんって、喋らない子だと思ってたけど違うんだね」
「しゃ、喋らないというか……極度のあがり症でできるだけ人と関わらないようにしようって決めてて……」
「えー勿体ないよ。私もこう見えてけっこう人見知りだけど、そういうのって相手にもよるでしょ?私は的井さんには平気だな。ずっとどんな子なんだろうって気になってたし」
たしかに私は先生になら平気だし、城田さんとだって話してみたいと思ったからリレーの練習に誘った。
全員となんて無理だけど、少しずつ平気な人を増やしていけたら、ちょっとは自分のことを認めてあげられるだろうか。
「とりあえずいくみんが帰ってくるまで練習してようか。走り方、教えてくれる?」
「……うん!」
私たちは再び、スタートラインに立った。



