先生と17歳のあいだ




「家どの辺?」


「……ご、5丁目のほう」


「そっか。じゃあ、私とは逆だね」



もしかしたら方向が同じだったら傘に入れてくれようとしていたのかもしれない。

このまま帰ってしまうと思いきや、城田さんは「ちょっと待ってて」と言ってどこかに行ってしまった。


暫くして戻ってきた城田さんの手にはピンク色の折り畳み傘。



「これ使って。ずっとロッカーに押し込んであったやつだけど」


城田さんはわざわざ教室まで傘を取りに行ってくれていたようだ。



「……で、でも」

「返すのはいつでもいいから」


そう言って、私に折り畳み傘を手渡してくれた。



「じゃあね」


城田さんは再び傘を広げて校舎の外へと出た。

地面に残る城田さんの足跡を追いながら、私はグッと貸してもらった傘を握る。




「……あ、あのっ!」

私は城田さんに向かって呼び掛けた。



「ん?」


城田さんが足を止めて振り返る。



私はずっと世界は優しくないと思ってた。


でも優しさに気づいていなかっただけで、見ようとしてなかっただけで、自分から歩み寄る勇気さえあれば……。 




「リレーの練習、一緒にしない?」


枝分かれした道も、怖くない。