私が今の先生と同い年になった時、一体どんな大人になってるだろうか。
一年後の自分さえどうなってるか分からないのに、先生がいる未来は果てしなく遠い。
「先生はどうして教師になったんですか?」
さっきの話から推測しても、先生が教師を志(こころざ)していたようには感じなかった。
「それは自分に向いてないと思ったから」
先生はタバコの火を消しながら即答した。
「え、どういうことですか?」
「得意なこととか向いてることを職業にしたらつまんないと思ったんだよ。先が分かりきってるっていうか、無難な選択はしたくなかっただけ」
……なんか、すごく先生らしい。
でも先が分からないよりも分かっているほうがいいに決まってるし、例えつまらない将来でも人は無難な道を選ぶ。
「私は……失敗するのが怖いし、先生みたいにはなれないです」
私は博打とか一か八かとか、そんな考え方はできない。
いつもいつだって成功するよりも失敗するビジョンが頭に浮かぶ。だから、自分が傷つかない選択だけを今までしてきた。
きっとこれからもそう。
人生にいくつもの枝分かれがあるのなら、私はわざわざ分かれているほうにはいかない。
無難でいい。つまらなくてもいい。
人ひとり通れるぐらいの細い道をただまっすぐに進んで私は人生のゴールを目指す。
例え喜びや悲しみを誰とも共有できなくても、私はひとりで……。



