先生と17歳のあいだ





今日はずっと朝から走ってる気がする。


風紀委員なのに廊下をひたすら走り、息が上がってきた頃に私は足を止めて重たい扉を開く。



ギィィという、鈍い音。雑草しか生えていない裏庭の景色をぼんやりと眺めながら、郁巳先生はいつもの非常階段でタバコを吸っていた。



「せっかく誰もいないと思って優雅に一服してたのに」


先生はそう言いつつも、私が来ることを分かっていたような表情だった。



「……また昼食はタバコだけですか?」


私は扉を閉めて、先生の隣に移動する。



「昨日あの時間にコンビニ弁当食ったから今朝から胃がもたれてんの」


先生はパーカーの上からお腹を擦(さす)る。タバコのほうがよっぽど胃には悪そうだけど……。



「お前の昼飯はそれ?」


先生はすぐに私の腕の中にあるメロンパンに気づいた。



「はい。三年生の和谷先輩に勧めてもらったんです。風紀の委員長もしてる人で……」


「知ってるよ。俺の遅刻もしっかりチェックしてる和谷だろ」


どうやら遅刻者名簿の欄に自分の名前が書かれていることを分かっていたらしい。