先生と17歳のあいだ




自分の感情が分からない。

今までこんなことはなかったのに。


教室を出た私は三年生の階に向かっていた。

下級生が上級生の階にいると、どんなに背中を丸めても目立ってしまうことは分かっていた。けれど、どうしても今朝のお礼は早めにしておきたかったから。



「さっきは門を開けていたただいてありがとうございました」


三年一組の教室の前で足を止めると、すぐに前列に座っていた和谷先輩が気づいてくれた。



「え、わざわざそれを言いにきたの?」

「……はい。あと、挨拶運動のこともすいませんでした」


たぶん私の声は雑音に掻き消されそうなほど小さかったと思う。


委員会での和谷先輩の姿しか知らなかったけれど、どうやら同級生たちにも人気のようで「その子誰?」と、色々な人が私のことを見ていた。



……嫌だな。やっぱり来たのは失敗だったかも。

なんだか急に変な汗が出てきて、しどろもどろになっていると、先輩が突然、私の腕を掴んだ。



「こっち」

そう言って、私を人気のない階段下へて連れていってくれた。