先生と17歳のあいだ








次の日。先生のタバコの匂いがしたような気がして、私は慌てて目を覚ます。もちろん私がいるのは自分の部屋であり、いつも使っているベッドの上。


それでもやっぱり先生の香りがするのは……タバコの匂いがほんのりと残っている部屋着のまま眠りについたせいだと思う。


私は寝ぼけ眼でスマホを確認する。

時刻は8時15分。



……え、待って、嘘。


普段はお弁当を作る時間もあるので、アラームは6時30分に設定してある。けれど、アラームが作動した様子はなく、どうやら昨日の夜に設定をし忘れてしまったようだ。



私は急いでベッドから起き上がり、ハンガーにかけてある制服に手を伸ばす。


いつもは鏡の前に立ってネクタイや後ろ姿をチェックしてから部屋を出るけれど、今日はそんな余裕はない。



階段をドタドタと駆け下りて、とりあえず洗面所で歯磨きと顔を3分で終わらせる。


リビングにはお母さんがコーヒーを飲んでいった形跡があるけれど、もちろん洗い物はしてないし、換気扇も付けっぱなし。


あれこれと求めているわけではないけど、こんな時ぐらい声をかけて起こしてくれたらいいのに。


朝起きてリビングに私がいないこともお弁当を作っていないことも、このままだと遅刻するってことも分かりきっているのに、心配はしない。



もう17歳だし、大抵のことはひとりで出来るし、今までもそうしてきた。


私だって色々なことを諦めているし、両親にはなにも期待なんてしてない。


でも、この虚しさだけは日に日に増えていく気がする。