「ああ、そっか。お前ん家ってこの近所だったっけ」
先生は担任なので、もちろん私の家の住所は知っている。
私はこんなにも驚いているのに先生は勝手に納得して、すぐにいつもの調子に戻った。
「超偶然じゃん。もしかして今が晩ごはん?的井って塾とか通ってんの?」
ズカズカと人の領域に踏み込んでくるのは相変わらず。
「ねえ、なんでシカトなんだよ」
「………」
私はおにぎりとペットボトルのお茶を買って、そそくさと会計を済ませた。
コンビニを出たあと、先生は追ってきた。私と違ってお弁当を購入したようで袋が大きい。
「まだ怒ってんの?リレーのこと」
そう、私は今日のことを許してはいない。でも逃げてしまった理由はもうひとつ。
まさか先生に会うなんて思ってなかったから、ものすごく適当な部屋着姿の自分を見られたくなかった。
だって袖とか襟とかあちらこちらに毛玉が付いているし、先生は目ざとくそういうところにすぐ気づきそうだから、急ぎ足で外へと出てきてしまったというわけだ。
「どうして黙ってたんですか?教員リレーで先生もアンカーを走ること」
俺も頑張るから頑張ろうぐらい言ってくれたら……私だって対応は違ったかもしれないのに。



