「それって……郁巳先生も出るんですか?」
「クラスを受け持ってる先生は全員出るみたいだよ」
そんなこと、さっきはなにも言ってなかった。
いや、先生は私と違ってリレーなんて余裕なのだろう。だって、いつもパワフルに生徒たちと遊んでるぐらいだし。
「教員リレーのジンクスがあってさ、最初にゴールテープを切った先生のクラスは、次のリレーでも一番でゴールするって知ってる?」
「い、いえ……」
「まあ、先生の頑張りを見たクラスの生徒たちが次は自分たちもって、士気が上がってるだけの話なんだけどね」
〝ちなみにお前にはアンカーを任せる予定だから〟
先生の声が耳の奥でこだましていた。
もう先生には踊らされない。振り回されたくない。
でも、先生は意味のないことは、絶対にしない。
「教員リレーでアンカーの人って……」
「四チームに別れて走るみたいだけど、たしか郁巳先生はアンカーに選ばれてるってうちのクラスの女子が話してたよ」
郁巳先生もアンカー。
そんなの知らない。聞いてない。
肝心なことを言わないなんて、先生はズルい。



