先生と17歳のあいだ





非常階段を出た私は教室に向かっていた。いつも壁に添うようにして廊下は端っこを歩くようにしてるのに、今はモヤモヤした気持ちのせいで足は中央寄り。


珍しく苛立っている原因は、先生が半分。

もう半分は……『声かけてこいよ』


そう言われただけで縮み上がった自分の臆病な心臓に。



「的井さん」

名前を呼ばれた私は後ろを振り返った。


そこにいたのは……和谷先輩だった。



「怖い顔してどうしたの?」


ハッと険しい顔のままだったことに気づいて、私は小さく首を横に振った。



「い、いえ。別に……」


さっきまで先生とはペラペラと喋っていたのに、やっぱり他の人だとすぐに引っ込み思案な自分が表に出てくる。



「今ね、委員会のポスターを新しくしようと思って美術部の先生からコレをもらってきたんだよね」


そう言って先輩は、跡が付かないように丸められた白紙の画用紙を見せてきた。


各階ごとに貼られている風紀委員会のポスターが古いことは知っていた。

毎年描き直している委員会もあるらしいけれど、風紀のポスターは何年も前の卒業生が描いたと誰かに聞いたことがある。


ポスターと言っても、委員会の仕事内容を分かりやすく描いた絵に、主張したい標語を載せただけのもの。

目立つ廊下の掲示板に365日貼られていても、足を止めて見てる人は今まで見たことがない。