先生と17歳のあいだ





私から声をかけるなんて勇気があるはずがなく、ペアの人に頼もうと考えたけど期待は薄い。


風紀って美化の次くらいに目立たない委員会かと思っていたけど、本当にやることがたくさんあって困る。



「言いづらいなら俺から言おうか?」

どうやら顔色を先輩に読まれてしまったようだ。



「だ、大丈夫です。たぶん……」

「それか担任の郁巳先生に言ってもらうとか?」


何故かそう言いながら先輩が遅刻者リストを指さす。



【郁巳雅人 遅刻2回】


一組のリストの中に紛れて先生の名前が……。



そういえばチャイムが鳴った数秒後に教室に入ってきたことがあった気がする。


髪の毛はボサボサで寝癖もついてるし、しかも履いていたスニーカーは左右バラバラの色違い。

遅刻したことよりもその姿にクラスメイトたちがどっと笑って、私はその光景に呆れていたことだけは覚えている。



「先生が遅刻するなんて聞いたことがないけど、郁巳先生が担任だと楽しそうだよね」


先輩がニコリと微笑んだ。



「楽しんでるクラスメイトはいると思います」

「的井さんは楽しくないの?」

「……私は……」


言いかけたところで、廊下が騒がしくなる。そういう時には必ず郁巳先生がいて生徒たちがいつものように取り囲んでいた。



「ねえ、なんでいくみんって腕時計を洋服の上からしてんの?」


スキンシップが激しい女子が先生の身体に密着して聞いていた。



「袖捲るの面倒くさいから」


おそらく胸も当たっていると思うけど、先生は動揺するどころかあっけらかんとした表情で答えていた。