「的井さん」
そして二時間目の移動教室の廊下で、私は珍しく誰かに肩を叩かれた。
学校生活で人と触れ合うことが滅多にない私は過剰なぐらいビックリとしてしまった。
「ごめん。驚かせちゃった?」
振り向くと、そこには和谷先輩が立っていた。
「い、いえ……」
なんで和谷先輩が二年の階にいるんだろう。その前にさっきの態度は失礼じゃなかっただろうか。
肩を叩かれただけだというのに、あからさまに怯えてしまった。
「今、順番に各クラスを回ってたんだけど、これ先月の遅刻者リスト」
先輩が見せてくれたのは、フルネームと遅刻回数が表記されたプリントだった。
遅刻指導なども風紀委員の仕事に含まれていて、本鈴ギリギリの駆け込みや完全に校門が閉まったあとに登校してきた生徒をこうしてリスト化している。
もちろん交通機関の遅れややむを得ない場合は除き、一定回数の遅刻を上回ったりすると、反省文などの罰則が課せられる。
当然この罰則は顧問の先生が決めたことなので、あくまで私たちは遅刻を繰り返している生徒に注意をするのが仕事だ。
「二年一組は常習者がひとりいるから、罰則にならないように呼びかけておいて」
「……分かりました」と、返事をしたものの常習者は素行が悪い男子だった。



