そんなことをしている内に校門からたくさんの生徒たちが登校してきて、校舎の中も騒がしくなってきた。
「先生」
私はやっと本来の目的を思い出してカバンを開ける。
「もし良かったら……食べてください」
私はそう言って自分のより少し大きめのお弁当箱を差し出した。
作ってきた経緯や断っても構わないことを強く主張しながら、やっぱりこれは押し付けがましかったのではないかと後悔もしていた。だけど先生は……。
「え、まじ!?貰っていいの?」
子供みたいに瞳をキラキラさせていた。
「はい。食べてもらえると私が助かるんです」
「やった!手作り弁当なんて超久しぶり!」
ほとんど冷凍食品を詰めただけなのに、こんなに喜んでくれるなんて思ってなかった。
……普通に、いや、けっこう嬉しいかも。
「じゃあ、昼休みにまたここに来てよ」
「え?」
「一緒に食べよう。食後のコーヒーぐらい作らせて」
コーヒーはあまり飲んだことがないけれど、先生が作ってくれると言うのなら私の返事はひとつしかない。
「はい」
カバンの中も心も、先生と話していると軽くなる。
あんなに両親のことで落ち込んでいたことが嘘みたいに。



