「ごめん、ごめん。今のはわざと言った。大丈夫。いるよ」
そう言って先生はなにやらプラスチックのケースを見せてきた。
水槽とも呼べない小ささのケースの中には水が入っていて、中にはカメが入っていた。
「……え、逃げたんじゃないんですか?」
「週末はカメだけ家に持って帰ってるんだよ。うちにも同じ水槽があるからさ。んで、ちょっと土曜の夜からエサを食べなくなったから心配になって生物の先生に聞きにいってきたところ」
結論から言うと、どうやら照射日光不足による食欲低下だったらしい。
先生は初めて日光浴をさせると言って、カメを窓際の傍に連れていく。すると、カメは太陽の日射しに目を細めながら、首を伸ばして気持ち良さそうにしていた。
「……なんだ。そっか。よかった……」
私は元気そうなカメを見て一気に肩の力が抜けてしまった。
カラカラに干からびていたらどうしようとか、小さいから踏まれていたらどうしようとか、ものすごく不吉なことばかりを考えていたけれど、カメが無事だと分かって本当に安心した。



