水槽を持ち上げて後ろも確認したけれど、岩影にもカメはいなかった。
え……も、もしかして逃げた……?
私は慌てて水槽の近くを見渡した。が、カメの姿はどこにもない。
私は探す範囲を広くして、ありとあらゆる場所を覗き込む。先生のカメは小さいから隙間さえあれば簡単に入り込んでしまうと思う。
……ど、どうしよう。
カメはたぶん陸でも生きられる。でも逃げたのが今日じゃないかもしれないし、もしひっくり返っていたら?
考えれば考えるほど最悪な想像しかできなくて、私は床に膝をついて本棚や机の下を這いつくばるようにして探した。
「カメ、カメ……」
最初は小さく呼びかけていたけれど、だんだんと早く見つけてあげなくちゃという焦りが出てきた。
「おーい、カメ、カメどこ?カメ、カメ」
恥ずかしげもなく呼んでいると……。
「なにしてんの、お前」
声がして、ハッと振り返ると先生がドアの前に立っていた。
きっと私は四つん這いで変な格好をしてるけれど、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。
「先生っ、カメが逃げました!」
「どこのカメ?」
「だから先生のカメ!!」
苛立ったように大声を出すと、先生がクスリとする。



