サラリーマンや学生たちが行き交う歩道。ふと、いい香りがして私は足を止める。
視線の先には小さな公園。
あそこには睡蓮(すいれん)の池がある。両親の仲が良かった頃はよくあの公園に行っていた。まだ私も幼かったからレジャーシートを持ってピクニックをしたりもしてた。
池に咲いている白い睡蓮がとても綺麗で私は触りたくて、水面に浮かんでいる葉っぱの上を歩いていこうと池に落ちたこともある。
お母さんとお父さんは大慌てで、躊躇なくどちらも飛び込んで私のことを助けてくれた。
今はどうだろう。
月日の流れって本当に怖い。
両親の仲を取り持とうと昔に一度だけまたピクニックに行こうと誘ったことがあったけれど、『そんな時間はない』とどちらにも断られたことを思い出す。
仕事が忙しいから時間がないのではなく、家族に使う時間はないと言われた気がして、それ以降私も無理に仲良くさせることはしなくなった。
……本当に、月日は人を変えてしまう。
変わってしまうことは簡単なのに、元に戻すことはなんでこんなにも難しいのだろうか。



