先生と17歳のあいだ





「ふ、はは」

すると、なぜか郁巳先生が吹き出した。



「なんで笑うんですか?」


私の後ろに面白いものもないし、どう考えてもこのタイミングで笑うのはおかしい。



「俺、教壇に立ってる時に思ってたんだけど、的井は自分が思ってるより全然影薄くなれてないよ」


「……え?」


「なんて言えばいいか分かんないけど、私は誰とも関わりませんっていう態度が一匹狼みたいで変に尖ってるし、人から話しかけられると臆病になるくせに、バカ騒ぎしてるヤツらを見つけると立派に迷惑そうな顔して、俺のこともなんだコイツって感じで呆れた視線を送ってくるだろ?」  


「………」


「それが目立ってるっていうか、的井は強気なのか弱気なのかどっちか分からないから見ててすげえ興味をそそられるんだよ」



……そんなこと、初めて言われた。


誰も私になんて興味はないと思ってたし、自分なりに教室や背景と同化できていると思ってた。



「だから、もしかしたらそういう関心から書記も声をかけられたんじゃね?俺の勝手な想像だけどさ」


和谷先輩の真意は分からない。でも先生と同じぐらい視野が広い人だから、私のことも委員長として気にかけてくれていたことは確かだ。


慣用的な言い回しで〝木を隠すなら森の中〟という言葉があるけれど、みんなと相容れない私はきっと上手く隠れられていなかった。
 

先生の言うとおり私は逆に目立ってしまっていたのかもしれない。