先生と17歳のあいだ





「先生、転入学の手続きとか色々とありがとうございました」


別の学校に変わるということは私が思っていた以上に大変で、先生が細かい書類などをすべてまとめてくれたから試験もスムーズに行うことができた。



「残業手当てが欲しいくらいだったよ」

先生がからかうようにして目を細める。



修了式まであと2か月。

私が学校に通えるのも、この制服を着るのも、先生とこうして話せるのも残りわずか。

 

「先生はこの街の出身ではないですよね?」


「うん。俺は就職と同時に上京したから」


「やっぱり慣れない土地での生活は大変でしたか?」


「うーん。まあ、最初はそうだったけど帰りたいと思ったことはなかったかな」


「……なぜですか?」


「慣れないからこそ全部が刺激的だったし、ひとりぼっちで自分のことを梅おにぎりだと思ってる生徒とかに会えるから毎日が楽しいよ」


先生はそう言ってゆっくりとタバコの煙を空に吐いた。




「私がいなくなったら寂しいでしょう?」


冗談のつもりだった。でも先生の返事は……。 



「うん」

眉を下げる先生を見て、胸がぎゅっとなる。

 

先生、私も寂しいです。


カバンに先生を入れていきたいぐらい本当はすごく寂しいけれど……。


先生と見たこの街の風景が永遠に色褪せないように、しっかりと瞳に焼き付けておこうと思った。