一際目立つ水色のパーカーを着て、生徒たちとドッジボールをしていたのは郁巳先生だった。
きっと遊んでいる内に色々な人が混ざってきたのだろう。遊んでいる人たちの学年は男女問わずバラバラだ。
「俺が勝ったらお前ら購買のあんぱんひとり一個ずつ贈与しろよ」
「うわ、給料前だからって生徒に奢ってもらうなんて最低ー」
「バカ。奢るんじゃなくて贈与だよ、贈与」
そう言いながら先生は相手チームの人の身体にボールを当てる。
「話してる途中に投げるとかマジでずるい!」と文句を言う相手チームの人たちを次々と外野に追い込み、まるで子供みたいに先生はドッジボールを楽しんでいた。
……あんな風に生徒と夢中になってはしゃぐ先生なんて他にはいない。
みんなと同じように制服を着ていたら学生に見えるくらい先生は若いけれど、非常階段でタバコを吸ってる横顔はすごく大人。
おそらく他の人たちは先生が喫煙者だということも、隠れて一服してることも知らない。
私の性格からして誰かに話すことはないと思われているのかもしれないけど、仮にも私は風紀委員だ。
ちょっと、だいぶ、先生は油断しすぎだと思う。



