「熱っ」
「だ、大丈夫ですか?私、絆創膏持ってます」
「別にいい」
「でも」
「絆創膏なんてしたら、そのたびに視界に入って思い出すだろ」
先生がぶっきらぼうにそう言った。
なんとなく耳が赤く見えるのは、外の寒さのせいだろうか。先生がそっぽを向いてしまったので表情は確認できない。
「もしかして、少しは動揺してくれてますか?」
「タバコを吸い忘れるぐらいな」
「はは、本当ですか?」
だとしたら、嬉しいけど。
先生はゆっくりと視線を変えるようにして私のことを見た。
「俺はお前の担任だから、気持ちには応えられないよ」
先生はちゃんとまっすぐに返事を返してくれた。
フラれているのに、なぜか心は軽い。
だって先生が子供扱いなんてしないで、真剣に答えてくれたから。
「はい。分かってました」
先生に恋をした時から、叶わないことは知っている。けれど、どうしようもなかった。
そのぐらい、先生が好きだったから。
「でも、ありがとう」
その言葉に、我慢していた涙が溢れてきた。
「……先生、私、まだ当分、先生のことを好きなままです。それでも今までどおり話してくれますか……っ?」
「なに言ってんだよ、当たり前だろ」
この先なにがあっても先生に恋をしたことを後悔したりしない。
そして私はこの夜のことを、初めて好きな人に好きだと打ち明けた今日のことを一生忘れることはないだろう。



