「先生、私。どうして先生のことを好きになったのか実はまだよく分かっていないんです。でも先生は私に諦めないということを教えてくれた。だから少しだけ自信が持てるようになって、ずいぶんと自分のことも好きになれるようになったんです」
人の反応ばかりが気になって、ひとりでいることが当たり前になっていたあの頃が嘘みたいに。
「でも俺はそんなお前に、俺のことは諦めろって平気で言っちゃうヤツだよ」
「分かってます。先生とどうこうなれないことは。でもやっぱり私は先生の姿を見つけるとこうして追いかけてきてしまうんです」
頭よりも身体が先に動く。
そんな本能的な行動ができるようになったのも、先生のおかげだと思ってる。
「私、先生のことがすごくすごく大好きなんです」
本当はもっと早く言いたかった。
でもこのタイミングじゃなかったら、きっと言えなかった。
「……的井」と、先生が息を吐くように名前を呼ぶ。けれど、その瞬間にじわりじわりと短くなっていたタバコの灰が先生の指に落ちた。



