次の日。私は一睡もできなかった。


というか、思い返してみるとなんて大胆なことをしてしまったのだろうと、顔から火が出るほど恥ずかしい。

毎日作ってるはずのお弁当の卵焼きが焦げてしまい、まるで私の心みたいに。



作り直す時間がないのでそのままお弁当を包んでいると、付けっぱなしにしていたリビングのテレビから街頭インタビューのようなものが聞こえてきた。



「やり逃げってマジでないよね」

「うんうん。されたほうの気持ちを考えろって感じ」


グサリと身に覚えがありすぎて言葉が胸に刺さる。


煩悩を消し去ろうと思っても般若心経が分からないので、とりあえず私は遅刻しないように家を出た。