先生と17歳のあいだ





「でも、お前のそういう目まぐるしい変化のスピードに付いていけない時もあるよ」


先生はタバコを吸いながら少しだけ寂しそうな顔をした。



「私は先生を置いていかないですよ」


「ふっ、お前なんてあっという間に俺を追い抜いていくよ」


「……先生って本当は寂しい人なんですか?」


「大人は孤独と引き換えに自由を手に入れるもんなんだよ」


ほら、そうやって誤魔化す。


「頭ぐらい撫でてあげてもいいですよ」と、私が手を伸ばすと先生はすかさずそれを止めた。


「お前、同級生の男にこれしたら一発で勘違いされるから気を付けろよ?」


そう言って逆に頭を撫でられてしまったのは、私のほう。



じゃあ、私は勘違いしないとでも?
 

恋を知らなかった私に恋を覚えさせたのは先生なのに……。

1パーセントも可能性を疑わないなんて、ちょっと私のこと甘く見すぎじゃないですか?



「……先生、私」


唇が次の言葉を言いたがっている。けれどそれを阻むようにして非常階段の扉が勢いよく開いた。


心臓がドキッと跳ねて、私は自然と先生から距離を置く。
 


「……な、なんで」


そこに立っていたのは、和谷先輩だった。