先生の顔は背中越しで見えないけれど、しっかりと私の姿が隠れるようにずっと守ってくれている。
「こいつのクラスに行きたいなら俺が案内してあげるから」
「は?男は引っ込んでろよ」
「そうもいかないんだよね。俺こう見えてこの学校の教師だし」
先生の口調はひたすら穏やかで、余計な争いごとにならないように注意してるという感じだった。
先生のことを教師だと知った男子たちの顔色が一瞬で変わった。その隙に先生は男子たちの背中を押して私から距離を取る。
「じゃあ、引き続き見回り頑張って」
先生は私にそう言って本当に全員をどこかに連れていってしまった。
先生の大人の対応に胸がぎゅっとなる。遠くなっていく先生の背中を見送るだけで、私はお礼も言えなかった。
「待たせちゃってごめんね」
それから和谷先輩が私の元に戻ってきた。
「どうしたの?なんかぼんやりしてるけど……」
「そ、そんなことないですよ」
先輩はもちろん先ほどの出来事には気づいていない。
私を庇うようにして守ってくれた先生の背中は本当に大きかった。
こんなことでいちいち心臓を高鳴らせていたらキリがないのに、もう頭の中は先生のことでいっぱいだ。



