「なあ、腹へんない?俺もう食うもの決まってんだけど的井はどうする?」
私のメニューを取り上げただけかと思いきや、ちゃっかりと先生はステーキのページを広げていた。
「……え、食べるんですか?」
思わず私は拍子抜けの声を出す。
「うん。あ、ハンバーグも旨そう」
どうして、先生はこうなのだろう。
どうして先生は、私の予想をこんなにも簡単に飛び越えてしまうのだろうか。
「……聞かなくていいんですか?私がこんな時間にファミレスにいる理由」
「聞いてほしいなら聞くけど、まずは腹ごしらえが先」
先生がこの調子だから緊張していた自分も、話す内容を探していたことも、どこか遠くへ飛ばされてしまった。
きっと先生は重たい空気にしないようにしてくれている。
私が夜にひとりでファミレスにいる時点で、色々と察してくれてることは分かっていた。



